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風光る京都~傷跡~ 第三話 新選組の愉快な仲間たち
 最近、総司に馴染みの妓がいるらしい。


ここは壬生にある新選組の屯所である。某幹部共の間では、そんな噂で持ちきりだった。

「で、どんな妓なんでぇ!?まさか禿だった、なんてオチじゃぁあるめえな!?」

「それって総司じゃ冗談にならないもんね。ところがどっこい、列記とした島原の遊女で、しかもなんと太夫らしいんだ!すっごい別嬪で、しかもかなり気風のいい江戸弁をしゃべる子なんだって!あの総司が三日と空けず通ってるんだから。」

「何ィ!?禿じゃねえんだな!そいつぁ目出度えじゃねえか!ってか平助、お前なんでそんなに詳しいんだよ!」

「だって俺、山南さんのお供で一度その置屋について行って、ちらっと姿を…いてててててててててっ!」

と男二人に同時に肘固めと四の字固めを喰らっていた。この三人、原田左之助、藤堂平助、永倉新八。言わずと知れた新選組の大幹部、おのおの一隊を率いる組長共である

「くそぅ!是非ともツラを拝みてえが、太夫じゃ手が出ねえ!」

と二番隊組長が叫ぶ。普段から酒だ、妓だ、と遊びまくっている彼らにそんな余裕はなかった。



「…誰のツラを拝みに行くんですか…?」



三人の背後から声が掛かる。と同時に三人は凍りついた。ギギギギギギ…と建付けの悪い扉が開くような音を立てて三人が恐る恐る振り返ると、薄ら笑い…いやいや微笑を浮かべる噂の一番隊組長がいた。しかしその目は全く笑っていなかった。


「…誰のツラを拝みに行くんです…?」


(((二度言うな~っ!怖ぇから~!)))

普段ボケ役の十番隊組長までもが心中ツッコむ。八番隊組長はすでに逃げ腰だ。その襟首を掴み、脂汗を掻きながらも二番隊組長は食い下がった。

「いやぁ、そのぉ何だ!あれだ!おめえの事を心配して言ってる、言わば兄心みてえなもんだろ!大事な弟が妙な妓に引っかかりでもしたら、近藤さんに申し訳がたたねえってもんだ!だからここはひとつ、様子を見に行ってやろうと…。」

「そうそう、決して野次馬根性や、あわよくば…。」

ボカッ★と左之の頭にすかさず鉄拳を食らわして黙らせた新八であったが、時すでに遅し。もう平助などは涙を流しながら、ガクガクと震えている。

「ふふふ、そうですか。それはそれはご心配痛み入ります…。それはそうと、皆さん夜道は気をつけて下さいね、最近物騒ですから。私も夜目が利かなくて困っちゃってるんですよね~。」

あはははは…と総司は笑いながら踵を返し、その場を去っていった。三人はへなへなとその場に崩れ落ちた。まるでたった今、総司必殺の三段突きでも喰らったかの如く…合掌。

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